僕がADHDと診断されたのは、22歳の時でした。
きっかけは、社会人になって、新卒で入った会社で体調を壊して3ヶ月で退社し、その後のアルバイトも、仕事ができなさ過ぎてクビになりかけ、ようやく自分で発達障害を疑い、受診する流れになりました。
ネットで診断してくれる病院を探し、実家から5.6駅離れた発達障害専門の病院に行くことにしました。
初診は母親と行きました。
診察では、子供のころからの忘れっぽい性格や、直近の仕事やこれまでのいじめなどの日常生活での困難さを伝えつつ、幼少期の言葉の覚えの遅さなどを母親に補足してもらいました。
結果的に、ADHD(不注意優勢型)と診断されました。
診断の基準は、
- 日常生活で明らかな困難を抱えている(仕事の失敗・これまでのいじめなど)
- 不注意などの症状は一時的なものではない(うつ病など別の病気による症状ではない)
- 本人の性格のせいとは考えにくい(仕事をやめてもすぐに次の仕事についている→怠けているとは言えない)
という観点から診断してもらいました。
母親は、僕が高校の時から、僕の事をアスペルガー症候群なのではないかと疑っていたそうで、その事を医師に訴えていましたが、自分の特徴とは合致していないとして、アスペルガー症候群とは診断されませんでした。
ADHDと診断されて、今までのいじめられた過去、何もかもうまくいかない日々、地獄のように思われた人生に、初めて明確な「上手くいかない理由」を見つけ出すことが出来て、安堵の気持ちがこみ上げました。
診断と同時に、医師はADHDに関する基礎知識をレクチャーしてくれました。
- ADHDは脳内の「ドーパミン」「ノルアドレナリン」といった伝達物質の分泌異常が原因という事
- 「コンサータ」という治療薬が開発されているという事
などです。
ただ当時、そのADHDの治療薬であるコンサータが、まだ小児にしか処方できない時代でした。治験などの関係で、まだ小児にしか認可されていなかったのです。
そしてその事は診察前にあらかじめネットを通じて知っていたので、診断されたところでどうしようもないんだろうなという気持ちがありました。
しかしその医師は「困ってる人を放置するわけにはいかない」と、大人の自分にコンサータを処方してくれました。
当時の医師には本当に感謝しています。
そしてこの薬の処方こそが、自分の人生を徐々に好転させてくれました。
診察の翌日から早速飲み始めました。
最初の1週間は、副作用などの様子を見る為、最低処方量(18mg)しか処方されなかったので、あまり効果は感じられませんでした。
しかし、2週目から27mgに用量を増やして、明らかに効果が現れました。
- 抑うつ症状がマシになる
- マルチタスクが徐々に可能になる
- 気が散る事が少なくなる
という効果が、自覚出来る程に出てきたのです。
この薬の効果は飲んでから12時間しか持続せず、薬の切れ目に強い眠気に襲われるという副作用もありますが、それを差し引いても無くてはならない薬になりました。
そして今でもコンサータのおかげで、何とか日常生活を送れています。
この22歳での診察は、文字通り僕の人生においてのターニングポイントになりました。